フランスの先生から、せん定を学びました!(番外編3 Broussin)
フランスのロワール地方の機関であるSICAVACから、Emeline PITON先生をお招きし、せん定講習会を開催しました。
「番外編」として何回か、主催者側として得たちょっとした裏話や、管理人が持った印象などを紹介していきます。
(番外編3 ) Broussin : 根頭がんしゅ病とチーズの関係?
とある会場で、「長野県では、クラウンゴール(根頭がんしゅ病)が問題となっている。今回教わったせん定方法は、それに対して強くなることは期待できるか?」との質問がありました。皆さん、どんな答えが返ってくるか興味を持っていましたが、PITON先生は意外にも「クラウンゴールという病名は知らない」とおっしゃいました。
え、フランスにはないの?ブルゴーニュなどはマイナス10°Cより下がることがあるのに、なぜ発生しないのだろう?気温の下がり方が違うのだろうか?そもそも菌がいないのだろうか?そういえば昨年度イタリアから招いた先生も病理の専門家でしたが「晩腐病は文献の写真では見たことしかなかったが、実物を見たのは初めて」とおっしゃっていたなあ、日本と違うなあ、、、などと不思議に思っていました。
講習会終了後、PITON先生を昼食に案内した際に、改めてクラウンゴールの話題になりました。スマホで長野県農業関係試験場ホームページにある病害虫データベース(注1)から、クラウンゴールの写真を示しました。更に「土中のアグロバクテリウムというバクテリアに由来する病気」、「凍害で幹に小さい傷ができたところにがんしゅができる」(注2)など説明したところ、「ああ、これなら発生している」とお話しいただきました。
フランスでは根頭がんしゅ病を “Broussin” (ブルーサン) と呼ぶそうです(注 この単語は今回お配りした資料には登場しません)。 やはり冬場に低温になる産地で発生していて問題となっているそうです。クラウンゴールとは英語由来の呼び方ですが、日本は英語の影響が強いのかなと思ってしまいました。
ブルーサンと聞いて、管理人がよくワインのおつまみにしている チーズ「ブルサン」に響きが似ていますねと言ったら、PITON先生は大笑いされていました。そして、「rの位置が違う」とチーズの単語を”Boursin”と書いていただきました。
きっとこの間違いは、日本で言えば言葉を話せるようになったばかりの子供が、「おさかな」を「おかさな」、「ヘリコプター」を「ヘリポキター」と言い間違える、こんなレベルなのでしょうか。とにかく、こんなアホらしい会話をしていたら、肝心の「樹を痛めないせん定方法でBroussinが減るかどうか」の見解をうっかり聞きそびれてしまいました、ごめんなさい。改めてPITON先生に電子メールで質問してみたいと思います。
フランス語でワイン用ぶどうのBroussinを紹介しているサイトを見つけましたので記します。ただしここのQ5の対策はそもそも日本では農薬取締法に抵触しますし、何よりも効果が期待できませんのでご注意下さい。
http://www.vignevin-occitanie.com/fiches-pratiques/agrobacterium-et-broussins-de-la-vigne/
また、根頭がんしゅ病については次も参考にしてください。
(注1) 長野県農業関係試験場ホームページの病害虫データベース https://www.agries-nagano.jp/pest
(注2)ホームページ会員の方は、このホームページ「ぶどう生産者の部屋/調べる/根頭がんしゅ病対策」を参照願います。 https://www.winegrapes-nagano.net/investigate/599.html