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フランスの先生の招いて、せん定を学びました!(番外編1 SICAVAC)

フランスのロワール地方の機関であるSICAVACから、Emeline PITON先生をお招きし、せん定講習会を開催しました。

3回、せん定に関わる技術的なポイントを書いてきましたが、今後は数回「番外編」として、主催者側として今回の講習を通じて得たちょっとした裏話や、管理人が持った印象などを紹介していきます。

 

(番外編1 ) SICAVAC :「芸事を習うなら、一番の師匠につくべき」

そもそも、PITON先生が所属しているSICAVACとは、どのような機関なのでしょうか?、、、実はお招きした管理人自身も、良くわかりませんでした。なんとなく、半官半民の組織?大学や苗木業者やワイナリーと協力している指導機関?などというイメージしかありませんでした。

主催側としてPITON先生と食事を共にした際にお伺いし、初めて具体的なイメージがわかりました。概要は次です。(あくまで聞き取った範囲ですので、違っている部分あるかもしれませんが、お許し下さい。更に詳しいことをご存知の方は、ご指摘願います。)

・サントル・ロワール地区のワイン用ぶどう生産者やワイナリーが出資して運営している機関で、苗木業者とも協力している。業務は、出資者が求める栽培やワイン醸造に関する技術向上への支援、サントル地区ワインのPRなど。

・栽培技術指導をしているのは、PITON先生を含めて4人。

・ぶどう果実やワインの品質を調べる研究室を所有している。

・本来はサントル地区のために働く機関だが、PRのために可能な範囲で、フランス各地に出かけて指導をしている。

それらを聞いて、管理人の上司と自身は、SICAVACを日本の機関に例えると、 一番近いのは「お米の産地の農協」だとの印象を持ちました(あくまで勝手な感想ですが)。

日本はやはりお米が主食の国、各地に農協があり、種もみの確保から始まり、栽培技術指導を行っています。特に米どころの農協は、独自にお米の食味分析をしている例もあります。そしてお米を一元集荷し、ブランドとして全国にPRし販売しています。画期的な技術を開発した場合、全国から講演や指導に呼ばれることがあります。フランスはワインの国、を再認識しました。

PITONさんの指導を畑で受けた方は誰しも、「説明が分かりやすい」、「応用力が高い(技術の引き出しが多い」と思われたでしょう。主催側としてはそれに加え、「時間内にきちんと伝えるべきことを伝える」指導能力に敬意を表したいです。しかもPITON先生は「私は色々な人と技術の話をするのが好き」とおっしゃっていました。本当にプロフェッショナルな素晴らしい技術指導者だと思います。管理人も技術者の端くれの一人として、PITON先生を尊敬しています。

指導経験が4年とお若いのにすごい、と思った方も多いでしょう。だが県内の農協を見ても、その品目で有名な産地には必ず強力な指導体制があり、新人の技術員さんも5年もたてば一人前になります。それは先輩が指導することももちろんですが、産地の生産者が良い意味で技術員さんを叱咤激励し、育てているからです。ところでフランスの場合は、大学などでの教育が理論をベースとして現場に則した実践的な内容であるため、しっかりした教育を受けてきた人はいきなり学卒でも農場や醸造の主任となるのは珍しくないそうです。PITON先生もそうしたキャリアをお持ちであり、SICAVACで更に英才教育を受けられ、加えてフランス各地で多くのワイン用ぶどう樹と接したくさんの生産者とお話しをされてきたのでしょう。だからこそ、私達に何を指導すべきか見抜き、短時間ながら的確な指導をしていただいたのだと思います。

さて、冒頭の「芸事を習うなら、一番の師匠につくべき」ですが、昔どこかの雑誌か本で、日本の伝統芸能に携わる人の言葉として読んだ記憶があります。それよりも強烈に覚えているのが、同じところに出ていた反語、下手な師匠につくと「下手がうつる」という表現です。どちらも意味の説明がいらないですね。今回、一番の先生であるPITON先生をお招きできて本当によかったと思います。同時に、一番の先生を見た管理人は、今まで自分が下手をうつしてきたことを思い知らされ、深く反省しています。