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フランスの先生から、せん定を学びました!(第二回 charge)

フランスのロワール地方のSICAVACからPITON先生をお招きし、せん定を学びました。管理人の備忘録を兼ねて、資料中のキーワードと、せん定の格言を紹介しています。

(今回の和訳にあたっては、配布資料で紹介いたしました通訳を引き受けていただいた皆様のアドバイスを統合していることを申し添えます。)

 

(No2 ) charge :「私のことを貧しくしてくれ。そうすれば、あなたを裕福にしてあげるよ。」

chargeは今回「負荷」、意訳では「せん定で残す芽の数」と訳しました。畑でPITON先生が、若木の結果母枝を切るときに、「シャルジュ」と繰り返しお話しされていました。

せん定で悩むことの一つに、「芽の数をどれ位残して切るか」があります。大まかな指標はあるものの、実際は品種・台木、畑の地力、人の管理状況によって変わるので、樹が前年どれ位成長したかを見て判断するしかありません。つまり「樹勢を見て判断する」ということで、経験則にゆだねられるところが大でした。特に若木のせん定は、樹の将来を決める大事な作業でありながら具体的な方針を管理人は知りませんでした。

今回PITON先生からは、定植年から順を追って具体的な芽数をお話しいただきました。「アン、ドゥ、トロワ、キャットル、、、」と結果母枝の芽を数えて、この段階では6芽、樹勢が強ければ8芽と多くしてもよいし、弱ければ少なくする、、、など説明いただく姿が印象に残っています。

皆さんの中には「切り方が強いなあ」と感じた方もおられるかもしれません。しかし、PITON先生は今回ご案内した畑全般で、若木を見て「樹齢が若いのに、果実をもう成らせたいという気持ちが強いためか、芽数を多く残している」との印象を持たれたそうで、「この段階では果実を成らせることよりも、樹を丈夫につくることが大切」とおっしゃっていました。実際に、栽培歴が30年近い方にお聞きしたら、「自分もこの段階の若木なら、PITON先生と同じ程度のせん定をする」とおっしゃっていました。

PITON先生から示していただいた芽数をまずは実践し、生育の様子を見て、この畑のこの品種・台木ならこれ位「負荷」をかけるのがいい、、、ということを皆さんで見つけて頂ければよいと思います。可能なら、お近くの参加者どおしで議論しながら切るとよいと思います。

、、、せん定の時、ぶどう樹はこう言っているんだ。「私のことを貧しくしてくれ。そうすれば、あなたを裕福にしてあげるよ。」、、、とあるテレビ番組で、ヨーロッパの小さな家族経営のワイナリーを紹介していたとき、オーナーさんがせん定のコツだと語った言葉です。周囲は収量を追い求めようと芽数を多く残すが、我が家は代々この芽数に制限することを守っているので、よいぶどうが実る、と力説されていました。いい言葉だなあ、使わせてもらおうとメモしておきました。今回のPITON先生の教えと共通するところがありますので、皆さんにも紹介します。