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痛いような日射と、果実の障害

梅雨の合間に晴れると、日差しが痛く感じることがありますね。それは、ぶどうの果実も同じでしょう。
今まで葉の陰になっていた果実が、新梢管理などで急激に強日射を受けると、果実が一気に高温になって褐変することがあり、「日焼け」と呼びます。

それとは別に、ベレゾーン前は水分生理の関係で、果実に「シミ」が生じることがあります。次に解説します。
・晴天が続き、葉から水が蒸散する
→根は、水分を吸収しようとするが、葉まで水が到達するのは時間がかかる
→葉は、一時的に不足した水分を、果粒から奪い取る
→昼間に水を奪われた果粒には、夜間に根から水が大量に流れ込む
→果粒内の一部で局所的に圧力が高まり、果肉細胞が破裂し、シミが生じる
(このメカニズムを始めて聞いたとき、私は「風が吹けば桶屋が儲かる」を思い出しました・・・)

曇雨天後に高温となった場合は、更に重い症状である、「縮果」が発生することもあります。
樹体内の水分変動が大きいと、果粒の付け根部分の組織が変性し、水の流れが悪くなったり細胞の害となる物質が生成されたりします。
その結果、変性部分より先の細胞が壊死・脱水して、縮果になります。

写真は、現地の「ミュラー トゥルガウ」で見た縮果と日焼けの併発です。このように見分けがつかないことも多いです。

対策は、いずれも水田転換園など根が浅く水分変動しやすい園で発生しやすいので、例年多い畑では、土壌改良が必用です。
また、新梢管理では次の双方に注意が必用です。

・新梢を放任すると葉からの無駄な蒸散が増えるので、開花からおおむね1ヶ月間は、枝が混まないよう摘心をしっかり行う。

・それ以降からベレゾーンにかけて、種子が硬くなっていく時期には、新梢先端を軽く摘心する程度とする。(一気に葉の量を減らすような新梢管理を行うと、根からの水が果粒に一気に来て、縮果発生を助長することがあります。)